■ 映画2本「PERFECT DAYS」/「ポトフ」

■ 全国100万人の読者の皆さま、正月休みのエリーでございます。

新年から大地震やら航空機事故やら、痛ましいニュース続きで本当につらいことですが、普通に日常を暮らせることに感謝しつつ、淡々とやるべきことを行い、人のためになることもたまにはやって、元気に生きていけたら、と思うのでした<(_ _)>

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飛行機から脱出のこと

●しかし、いくら荷物をすべて置いて機外へ脱出といったって、何としてもスマフォだけは身から離さず持っていなければと思います(*_*)

そしてこれがもし外国だったら、やっぱり絶対クレジットカードの1,2枚と、パスポートは持って出ないと後が大変過ぎる。機内で寝る時でも、文字通り「肌身離さず」持っていないとダメだなあと改めて自分の荷物の持ち方を再確認しました。

●まあ、日本から出たらものすごく用心深いわたし、機内において、貴重品を入れた斜めがけショルダーバッグは寝る時でもトイレに立つ時でも外したことはないし、まずは大丈夫な装備だけど、しかし日本の家の鍵は、斜めがけではなく、サブのショルダートートの内ポケットに入れちゃっているから、これ改めないといかんなあと。そして、仮に国内線の飛行機に乗ることがあっても、フランス往復時と同様の心がけでなければいけないなあと今回思いました。

●でもって、脱出時にショルダーベルトがひっかかってはいけないから、貴重品バッグを斜めがけした上から、ダウンのジャケットをはおれたら一番いいのではないか。真夏でも機内は冷えるから、ウルトラライトダウンは常に持っているし。
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さて、先週見た映画2本の話をいたします。

●ヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」
2023年、124分。

これが、心にしみる名作でした。

間違いなく、2023年に見た映画の中で、最も深く感銘を受けたものです。

役所広司さんが演じる(演じているとすら思わせない)、平山さんという役柄が、圧倒的によかったのです。

スカイツリーが見える、押上あたりの、ごく質素なアパートで暮らす平山さん。外を掃く竹箒のじゃっ、じゃっという音で目覚め、目覚めて起き上がりながら薄い布団をたたんで片付け、身支度をして、青いつなぎの服を着て、掃除道具を積んだ軽自動車に乗り、毎朝自販機で買う缶コーヒーを飲む。(カセットテープで)音楽を聴きつつ、都心の公衆トイレの清掃の仕事に向かう。(このトイレが、公衆トイレとはいっても、東京都のプロジェクトで作られたデザイナーや建築家による設計の斬新なトイレで、結構見て楽しめるのはすてき。)淡々と掃除をする。完璧にする。仕事が終わったら銭湯に行き、地下の飲み屋のような店でビールを飲みつつ夕食をとり、帰ったら古本屋さんで買ってきた文庫本を読んで眠りにつく。これを、判で押したように毎日繰り返す。変化のなさそうな、最低限の生活なのに、この平山さんはいつも穏やかな表情を浮かべ、木々を見上げて微笑み、見下された態度を取られても心を乱すことなく、ゆったりと充足した感じ、常に平和そのものにしているのが、たまらなくいいのです。平山さん、なんていい人なんだろうと思う。休みの日にはコインランドリーに行って洗濯をして、仕事の合間に(フイルムカメラで)撮った木々の写真の現像に行き、そしてすてきな女将のいる小料理屋に出かけたりもします。この女将のことを、よいなとほんわか思っていたりもします。

もうもうもう、質素な暮らしなのに、充足しかないという毎日。ここに事を起こすのが突然訪ねてきた思春期の姪っ子ちゃん(これがまたべっぴんさん)。母親とけんかしたとかで家出してきたのだけど、平山さんにはなついているようで、平山さんはアパートに泊めてあげる。自分は流し台の前の極小スペースの床に寝て、姪っ子にたたみの部屋を使わせてあげるのも優しいことです(T_T)(T_T)

そして、母親=平山さんの妹が、運転手付きの高級車で迎えに来るところから、平山さんには、何か強烈な過去があったらしいことがわかるようになるのです。もともとはいいところの人だったのだろうということも推察できます。

まあ、その後は映画を見てね。絶対見る価値ある作品だから。

ヴィム・ヴェンダースさん78歳で、本当にすばらしい作品を撮りに来てくださいました。

「東京画」を思い出させる、東京の道の撮り方も、よいなあと(^o^)

ヴェンダースさんて、本当に首都高とか、ジャンクションとか大好きなのですね。

ヴェンダース作品の中でも、わたしは今まででこれが一番好きでした。

しみじみよかった(T_T) また見たいと思います。

公式サイト

●トラン・アン・ユン監督の「ポトフ」、原題は La Passion de Dodin Bouffant.

2023年 フランス、137分。

日本語字幕 古田由紀子

公式サイト

非常に美しい映像、劇中は全く音楽なしで、ひたすら料理する音、用意する音、足音、自然の音・・・と、音を大事に撮ったのよという監督の意図も明確でよかったです。

ピエール・ガニェールさんが料理監修で、ちょい役で本人が登場したりもして、まあ見事な料理や台所や当時のしつらいをたくさん見られることでも、非常に興味をそそられた映画です。

そもそも、フランス映画で、料理がテーマで、要らん音楽がなくて、映像美を極め・・・となると、わたしが好きな要素ばかり。大喜びしそうなものでしょう?

「本当にすばらしい映画でした<(_ _)>」
と言うしかないのだけど、(もし試写に招かれたりしていたら、もう本当にこう言うしかない。)

でもでも・・・何かわたし、この映画、しっくりきませんでした。

何でかな?

まずはとにかく冗長で、これ30分は短縮できる作品だと思います。

最後の方で、ブノワ・マジメル演じるドダンの苦悩の深さはよくわかるんだけど、延々見せられても、「もういいし( ̄○ ̄;)」となってしまって・・・

早く終わってと最後の20分くらいは思い続け、クレジットを全部見ずに出て来ました。珍しいこと。

ひとつ置いて隣に座っていた人も、即、立ち上がっていたなあ。

何なのこの違和感、すっきりしない感。

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トラン・アン・ユン監督デビュー作「青いパパイヤの香り」を、30年前に見た時も、ほぼ同じ感覚を持ったことを思い出しました。

「ほんとーに、すばらしい映画でした<(_ _)>」

と言わざるを得ない作品ながら、(特に主人公成人後の後半が)わたしには何か心地よくなくて・・・

うう、この良さをわからないのは、わたしの許容量の少なさのせいかもしれません。

ごめん<(_ _)>

 

ゆったり流れる時間を感じさせる映画じたいが嫌いなわけではなく、テオ・アンゲロプロス監督のえんえん長回しの場面なんかでも、わたし飽きずに見るんですよ。

となると、トラン・アン・ユン監督と相性がよくないということかな(*_*)(*_*)

重ねてごめん<(_ _)>

でもいい映画でした。本当に。

 

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関谷江里